2022.12.06初期段階では気づきづらい│犬の脾臓腫瘍にご用心
みなさんは「脾臓(ひぞう)」という臓器をご存じでしょうか?
脾臓は胃のすぐ近くにある臓器で、古くなった赤血球を壊したり、「リンパ球」という免疫機能にかかわる白血球を作ったりしています。
では、もしも愛犬に脾臓腫瘍ができてしまったら、どうなってしまうのでしょうか。
そこで今回は、犬の脾臓腫瘍について、症状や治療方法、予防方法などについて詳しく解説します。
脾臓腫瘍の症状
犬の脾臓腫瘍は、初期の段階では無症状であることがほとんどです。
腫瘍が大きくなってくると
・元気がなくなる
・食欲がなくなる
・吐く
などの症状がみられるようになりますが、いずれも特異的な症状ではありません。
また、犬の脾臓腫瘍は9〜11歳くらいで発生することが多い病気であるため、老化現象の一つと捉えられてしまい、この段階では動物病院の受診に至らずにそのまま見逃されてしまうケースも少なくありません。
ただし、脾臓腫瘍が破裂して出血が起こると、貧血を起こして歯茎が白くなったり動きたがらなくなったりします。
さらに大量出血を起こせば急激に血圧が下がったり呼吸が荒くなったりするなど、ショック状態に陥ることもあります。
脾臓腫瘍の診断方法
脾臓は肉眼で観察することができないため、超音波検査やレントゲン検査といった画像診断を行います。
しかし、これらの検査では「脾臓にしこりがある」ことと「お腹の中で出血をしている」ことなどしか確認できず、しこりが良性のものか悪性のものかどうかまではわかりません。
(ただし、画像診断にて脾臓腫瘤が認められた場合、腫瘍の大きさが10ミリを超えていれば、切除を勧められるケースが一般的です)
そのため、手術で脾臓腫瘍を摘出した後に病理検査を行うことで、確定診断を行うことができます。
また、上記に加えて血液検査で血小板数の減少や貧血がないかを確認することで、さらに正確な診断が可能です。
脾臓腫瘍の治療方法
脾臓腫瘍は薬で治療することが難しいため、一般的には手術で腫瘍を摘出します。出血量が多い場合には、手術を行う前に輸血を行うこともあります。
また、通常は腫瘍だけではなく、脾臓もすべて摘出します。
「脾臓をすべて摘出してしまって大丈夫なの?」と不安に思う飼い主様も多いでしょう。しかし、脾臓がなくなった後は、肝臓をはじめ、他の臓器が脾臓の代わりを担ってくれるようになります。
脾臓腫瘍の予防方法
残念ながら今のところ脾臓腫瘍を予防する方法はありません。
そのため、シニア期に突入したら毎年健康診断を受け、早期発見・早期治療を行うことが大切です。
当院ではシニア期の愛犬と暮らす飼い主様の負担を少しでも軽くできるよう、高齢動物の介護やケアに取り組んでいます。できる限りのサポートをさせていただきますので、お悩みは抱え込まず、まずはご相談ください。
<当院の老齢動物介護についての説明はこちら>
まとめ
脾臓腫瘍は犬に比較的よくみられる腫瘍です。しかし初期の段階では症状がみられないことも多く、予防も難しい病気です。
実際、健康診断の際に脾臓腫瘍が偶然見つかるケースも少なくないため、1年に1回動物病院で健康診断を受けて、早期発見・早期治療に努めるようにしましょう。
当院では腫瘍の診療に力を入れておりますので、リンパ腫のように抗がん剤治療が適当であると判断される症例の抗がん剤治療や、セカンドオピニオンもお気軽にご相談ください。
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