2022.12.23治療が難しい病気への新たな治療法│犬や猫の再生医療について
最近、犬や猫の病気に対する新たな治療法として「再生医療」に注目が集まっています。
しかし、そもそもどんな治療法なのか、どういった病気の治療に利用できるかなど、よくわからないという飼い主様が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、現在注目されている犬や猫の再生医療について、詳しくご紹介します。
再生医療とは
再生医療とは、「失われた臓器や組織を再生する」医療です。獣医療業界における再生医療としては、幹細胞から放出される生理活性物質などを利用した、「本来持っている治癒能力や免疫能力をより高めて病気を治療していく治療法」が現在よく行われているものになります。
また再生医療には自身の細胞を体外で培養し、自身の体に移植する自家移植と、健康な他の個体の細胞を培養し、自身の体に移植する他家移植があります。
再生医療にはさまざまな方法がありますが、犬や猫の再生医療では以下の3つがよく用いられます。
治療法名 | 自家細胞の種類 |
免疫細胞療法 | 血液に含まれるリンパ球と呼ばれる免疫細胞 |
幹細胞療法 | 骨髄や皮下脂肪に含まれる、さまざまな組織や臓器に分化できる幹細胞 |
多血小板血漿療法(PRP療法) | 血液に含まれる血小板 |
再生医療のメリット
再生医療の最大のメリットは、体への負担が少ないという点です。
再生医療は自らの細胞を利用するので拒絶反応が少なく、細胞の採取も傷口が小さく済むため、体への負担があまりかかりません。
また、従来の方法では治療が難しかった病気に対して、治療の新しい選択肢が増えたことも大きなメリットといえます。
再生医療の対象となる疾患
再生医療の対象となる疾患には以下のようなものがあります。
治療法名 | 適応疾患 |
免疫細胞療法 | がん |
幹細胞療法 | 骨折、関節炎、角膜潰瘍、乾性角結膜炎、慢性腸症、
アトピー性皮膚炎、椎間板ヘルニア、免疫介在性溶血性貧血など |
多血小板血漿療法(PRP療法) | 骨折、関節炎、椎間板ヘルニアなど |
ただし今もなお研究が進んでいるので、これからより多くの疾患が適応となる可能性は十分にあります。
再生医療の注意点
動物病院で再生医療を行うためには、培養を行うための設備や技術の習得などが必要になります。そのため、再生医療を行える動物病院はまだまだ少ないのが現実ですが、
培養設備がなくても再生医療が行える病院も増えてきているなど、将来的にはさらに身近になると考えられています。
ただ、先程ご紹介したとおり、治療対象となる疾患が限られていることにも注意しなければなりません。
また、従来の治療法と比較すると治療費は高額になります。犬や猫には公的な医療保険がないため、全額自己負担になることにも注意が必要です。
まとめ
再生医療は今もなお研究が進んでいる新しい治療法です。
体への負担が少なく、これまでは治療を諦めていた病気の根治が叶う可能性があるというメリットがある反面、治療費は高額で、再生医療を行っている動物病院や治療対象となる疾患は限られています。
しかし、従来の治療法にも同じようにメリット・デメリットはありますので、どの治療を選択するのがベストなのか、一緒に考えていきましょう。
当院では再生医療のうち幹細胞療法に対応しておりますので、再生医療に関してご質問、ご相談があればお気軽にご相談ください。
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