2022.12.23犬で多く見られる心臓病│犬の僧帽弁閉鎖不全症について
僧帽弁閉鎖不全症は、犬で最もよくみられる心臓病です。
犬の心臓は4つの部屋に別れていて、心臓の右半分を上下の部屋に分けている扉のようなものが僧帽弁です。そしてこの僧帽弁がうまく閉まらなくなり、血液が逆流してしまう病気を僧帽弁閉鎖不全症といいます。
ここでは僧帽弁がうまく閉まらなくなるとどうなってしまうのか、詳しくご紹介します。
僧帽弁閉鎖不全症の症状
最初はほとんど症状が現れませんが、病気が進行すると
●咳が出る
●運動不耐性(疲れやすい)
●元気や食欲が低下する
●突然倒れる
などがみられるようになります。
また、さらに症状が進行すると行き場を失った血液がうっ血し、「肺水腫」を引き起こします。
肺水腫になると呼吸困難やチアノーゼ(舌や唇が青や青紫色になること)、痰の絡んだような咳がひどくなるなどの症状が現れ、治療が遅れてしまうと命を落としてしまいます。
診断方法
以下のような検査を行い、診断をします。
●聴診:心雑音の有無や心臓のリズム、肺音などを確認します
●レントゲン検査:心臓の大きさや肺や気管・気管支の状態などを確認します
●エコー検査:僧帽弁の働きや血液の逆流があるかどうかなどを確認します
●心電図検査:脈拍のリズムや不整脈か正常波形かのチェックをします
治療方法
僧帽弁閉鎖不全症の治療方法には、手術を行う外科治療と、薬による内科治療の2種類があります。
犬の場合は一般的に内科的治療では進行を遅らせたり、症状を改善させたりすることを目的に、複数の薬を組み合わせて治療を行います。
外科的治療は僧帽弁閉鎖不全症を完治に導くために有効な方法で、手術によって僧帽弁を人工弁に置換したり、僧帽弁を修復したりします。
近年は獣医療も進み、外科的治療だけでなく、内科治療でも症状をコントロールできるようになってきました。そのため、江東どうぶつ医療センターでは、内科治療や状態の維持にも重点を置いており、健康な循環器を長く保てるよう尽力しています。
<当院の心臓状態検査に関する説明はこちら>
予防方法
犬の僧帽弁閉鎖不全症を予防する方法は今の所ありません。
そのため、できるだけ早い段階で病気に気が付くことが重要です。
僧帽弁閉鎖不全症は
●キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
●シー・ズー
●マルチーズ
●チワワ
●トイ・プードル
などの犬種で発症することが多く、特に高齢でよくみられます。
特にこれらの条件に当てはまる場合には、定期的に健康診断を受けて早期発見に努めましょう。
日常の注意点
僧帽弁閉鎖不全症を発症した後は、
●激しい運動は控える
●食事管理をする(特に塩分の摂取を控える)
●温度や湿度をしっかり管理する(特に高温多湿にならないよう気をつける)
などを心がけ、投薬も忘れないように注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
僧帽弁閉鎖不全症は犬によくみられる心臓病ですが、予防や根治が難しいため、初期の段階で病気を発見することが重要です。
高齢犬に多く発生するため、7歳を過ぎたら半年に1回の血液検査を、1年に1回は画像検査を含めたフルチェックを受けるようにしましょう。
当院では内科治療の他に外科治療に適しているかの診断や判定を行い、飼い主様をサポートします。病気について気になることや質問があれば、お気軽にご相談ください。
症状・検査・健診についてご相談がある場合はこちら
03-6666-6557
koto.animedical@gmail.com
来院される場合はこちら(Web予約システム)