2023.01.30ダックスフンドを中心にどの犬も要注意│犬の椎間板ヘルニアについて
歩き方がふらふらしている、抱っこした時にキャンと鳴く、歩くことができなくなった、といった様子が見られたら椎間板ヘルニアの可能性があります。
椎間板は背骨の骨と骨の間にあり、クッションのような役割をしています。
そして椎間板ヘルニアはこの椎間板が飛び出し、脊髄を圧迫することでさまざまな神経症状を引き起こす病気です。
ダックスフンドによくみられる病気としてご存じの方が多いかもしれませんが、実はどの犬種も発症する可能性があります。
そこで今回は、犬の椎間板ヘルニアについて詳しくご紹介します。
症状
椎間板ヘルニアは「腰の病気」というイメージが強いかもしれませんが、首(頸部)や胸部など、背骨のどの部分にも起こり得ます。
症状はヘルニアが発生した部位によって若干異なりますが、主な症状は痛みと麻痺です。
よくある症状としては不全麻痺(四肢が思うように動かせないこと)、完全麻痺(四肢が全く動かせなくなること)、歩く際にふらついて徐々に歩けなくなる、抱っこした際に痛そうに鳴くなどです。
そして首の椎間板ヘルニアは重症度によって3つのグレードに、胸部と腰部の椎間板ヘルニアは5つのグレードに分類されます。
<頸部>
<胸部、腰部>
原因
犬の椎間板ヘルニアは加齢や激しい運動、外傷、遺伝などが原因で椎間板が変性することで起こります。
遺伝的に椎間板ヘルニアになりやすい犬種としては、
・ダックスフンド
・ビーグル
・フレンチ・ブルドッグ
・ペキニーズ
・シー・ズー
など、「軟骨異栄養犬種」と呼ばれる犬種が挙げられます。
軟骨異栄養犬種は遺伝的に軟骨形成に障害を持つことが知られており、中でも特にダックスフンドでは他の犬種に比較して10倍の危険性があります。
(出典:スモールアニマル・サージェリー.EDUWARD Press.2008)
加えて、椎間板の変性は加齢に従って進むため、高齢の犬は特に発症リスクが上がります。
治療方法
症状が軽度の場合にはケージの中で安静にしながら(ケージレスト)、非ステロイド性消炎鎮痛剤やステロイド剤などを使った内科的治療を行います(頸部椎間板ヘルニアではグレード1、腰部椎間板ヘルニアではグレード1からグレード2が基準)。
薬で回復しない場合や再発を繰り返す場合、症状が重度の場合などには手術(外科的治療)が必要になることもあります(頸部椎間板ヘルニアではグレード2以上、腰部椎間板ヘルニアではグレード3以上が基準)。
ただし、一般的には手術が推奨される重症例であっても様々な事情から内科的治療が選択されることもあります(動物の年齢や基礎疾患の有無など)。
従って、前述のグレードを基準としながらも、個々の状況を鑑みて治療方法を選択することが重要です。
加えて、再生医療や鍼灸治療、レーザー治療を行うこともあります。
再生医療については、過去記事でも詳しく解説していますので、詳細についてはこちらをご覧ください。
予防方法
椎間板ヘルニアを予防するためには、
・ソファーや階段など、段差の上り下りをさせない
・激しい運動は控える
・足裏の毛が肉球にかからないようこまめにカットする
・カーペットを敷くなどして滑りやすい床材を避ける
など、なるべく背骨に負担がかからないように気をつけましょう。
特に運動不足の状態で急な激しい運動を行ってしまうことは発症のリスクを高めるため、避けるようにしましょう。
まとめ
椎間板ヘルニアはダックスフンドを中心に、どの犬も発症する可能性がある病気です。
発症するとQOL(生活の質)が著しく低下するため、日頃からなるべく背骨に負担がかからないように工夫をしましょう。
また、症状が軽度であれば薬だけで回復することもあるため、早期発見・早期治療が重要です。
歩き方がおかしいなど、椎間板ヘルニアが疑われる症状がみられる場合は、様子を見ずにすぐに当院へご相談ください。
<当院におけるヘルニア治療についてはこちらのページでも紹介しています>
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