2023.06.28ハリネズミの肝リピドーシスについて│ハリネズミを肥満にさせないことが重要
「肝リピドーシス」とは、肝臓に脂肪がたくさん沈着することで肝臓の機能が低下してしまう病気です。肥満のハリネズミによくみられる病気で、最悪の場合命を落としてしまうこともあります。
今回はそんなハリネズミの肝リピドーシスについて、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説していきたいと思います。
■目次
1.症状
2.原因
3.診断方法
4.治療方法
5.予防方法
6.まとめ
症状
初期の段階では無症状であることがほとんどです。しかし、病気が進行すると、以下のような症状がみられるようになります。
・元気がない
・食欲がない
・体重減少
・軟便・下痢
・嘔吐
また、末期になると黄疸がみられるようになり、命を落としてしまうこともあります。
原因
肝リピドーシスは、肥満によって肝臓に脂肪が蓄積されることが原因で起こります。
野生のハリネズミは一晩で数kmも移動をするほど活動的ですが、ペットとして飼育されているハリネズミはどうしても運動量が不足してしまいます。また、高脂肪なフェレットフードやキャットフードを好む傾向にあるため、食事内容も相まって肥満に陥ることが多いといわれています。
一般的に、ハリネズミの標準体重は雄で500〜600g、雌で250〜400gといわれています。体重には個体差があるため標準体重より重いからといって肥満とはいえませんが、生後6ヶ月を過ぎても体重が増え続けていたり、見た目が丸くなって動きが鈍くなっていたりする場合は、肥満に陥っている可能性が考えられます。
診断方法
ハリネズミの肝リピドーシスは、血液検査やエコー検査を行うことで診断をします。
しかし、ハリネズミは警戒心が強く丸まってしまうと検査が行えません。そのため、検査をする際は一般的に全身麻酔をかけて行います。
治療方法
肝リピドーシスの治療は、食事療法が中心となります。
ハリネズミの食事は高タンパク・低脂肪が理想とされています。そのため、脂質を多く含んでいるフェレットフードやキャットフードを与えている場合は、ハリネズミフードや肥満猫用のキャットフードへ徐々に変更していきます。
また、食欲がない場合には強制給餌(シリンジを使って柔らかいフードを口の中へ入れる方法)を行います。
予防方法
肝リピドーシスを予防するためには、ハリネズミを肥満にさせないことが大切です。
食事はハリネズミフードを中心に、ミルワームやコオロギ、ゆで卵などの動物性タンパク、少量の野菜などを与えます。
また、食事は置きっぱなしにせず、20分ほどたったら下げるようにしましょう。
さらに、肥満予防には運動も効果的です。ケージ内に回し車を設置したり、部屋に放して散歩をさせたりして、たくさん運動ができるよう工夫しましょう。
まとめ
ハリネズミを肥満にさせないことで、肝リピドーシスを予防できます。ペットとして飼育されているハリネズミは食事内容や運動量の少なさから肥満になりやすいため、こまめに体重を測りながら食事内容や運動量を適宜見直していきましょう。
当院ではウサギ、カメ、ハムスター、フェレット、ハリネズミなど、エキゾチックアニマルの診療を行っています(鳥類は診療対象外のため、あらかじめご了承ください)。
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<参考文献>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/20/2/20_135/_pdf/-char/ja