2022.11.11気を付けたい犬や猫のリンパ腫
犬や猫に見られるリンパ腫という病気をご存じでしょうか。
リンパ腫は体の様々なリンパ組織の中で腫瘍化したリンパ球が異常増殖する病気です。
出来る場所によりそれぞれ型が異なり、犬と猫それぞれできやすい場所が異なります。
見られる症状や治療などについて解説します。
リンパ腫で見られる症状
リンパ腫とは、リンパ球と呼ばれる白血球の1種が増殖し、腫瘍化したものです。
リンパ球は体外からの異物を排除するための免疫細胞であり、血液の中や全身のリンパ管内、リンパ節、皮膚や消化管など身体中に存在し、異物を排除するために体を巡っています。
リンパ腫は出来る場所によって型が異なり、単独のリンパ組織に出来る場合・複数のリンパ組織で見られる場合など様々です。
また、リンパ腫の中でも悪性度の低いとされる高分化型や一般的で悪性度の高いとされる低分化型など、形態も色々です。
リンパ腫の存在する場所により見られる症状は異なります。
猫に多く見られるのは消化器型リンパ腫です。
消化器型リンパ腫においては下痢や嘔吐、食欲不振などが初期に見られる症状です。
他にも胸の中のリンパ節に見られる縦隔型リンパ腫は、猫白血病ウイルス感染症が関与しているとも言われ、感染歴のある猫は注意が必要です。
犬で特に多いのが多中心型と呼ばれる体中のリンパ節の腫大などが見られるケースです。
多中心型の場合、リンパ節の腫大や左右の大きさの差などによって気付くケースが大半です。
必要な検査
消化管などの腹腔内に出来るリンパ腫の場合、超音波検査やレントゲン検査などでリンパ節の腫大の程度を測る場合もあります。
リンパ腫が疑われる場合、針を刺して細胞を採取する細胞診や、疑わしい組織を切除して行う病理組織学検査が有意義とされています。
採取されたサンプルは、通常の組織学的な検査に加えて、遺伝子レベルでの検査をするPCR検査やリンパ球の分類を行うことで、より診断が確実に行えます。
治療について
リンパ腫の種類により治療方法は異なりますが、抗がん剤を使用するケースが一般的です。
使用される薬剤は様々で、犬や猫の全身状態に応じてプロトコールと呼ばれる投薬計画を適用します。定期的な通院により、抗がん剤投与による全身状態の変化もモニタリングしながら治療を行います。
<当院の抗がん剤治療についての説明はこちら>
まとめ
リンパ腫と聞くと悪いイメージが浮かぶ飼い主さんも多いでしょう。
家庭での日常的なスキンシップの中でわかる変化や、定期的な通院によって早期発見につながるケースも数多く発生しています。体の異変により早く気付くことで、ステージの低いうちに治療を始められ、少しでも犬や猫の負担を軽減してあげられる可能性が高まります。
当院では腫瘍の診療に力を入れておりますので、リンパ腫のように抗がん剤治療が適当であると判断される症例の抗がん剤治療や、セカンドオピニオンもお気軽にご相談ください。
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