2023.02.15数日で命を落としてしまうこともある危険な病気│犬の急性腎不全について
犬の急性腎不全とは、短時間で急激に腎臓の機能が低下してしまう状態のことをいいます。
出血や感染症、中毒、心臓病、尿路疾患、腫瘍などさまざまな原因で起こり、数日で命を落としてしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、犬の急性腎不全について詳しくご紹介していきます。
症状
犬が急性腎不全を引き起こすと、
・元気消失
・食欲減退
・嘔吐
・下痢
・脱水
などの症状が突然みられるようになります。
さらに進行すると尿毒症を引き起こし、けいれんや意識障害といった神経症状がみられ、数日で命を落としてしまうこともあります。
診断方法
犬の急性腎不全は血液検査と尿検査を行い、腎臓の機能が低下していることを確認することで診断をします。
また、レントゲン検査や超音波検査を行い腎臓の状態を観察したり尿路疾患や腫瘍の有無を確認したりすることで、急性腎不全の原因を究明することもあります。
治療方法
急性腎不全はすぐに治療を行わないと命にかかわるため、基本的に入院治療を行います。
一般的には重度の脱水を起こしていることが多いため、点滴治療によって脱水を改善しつつ、急性腎不全を引き起こしている原因に対する治療や嘔吐や下痢といった症状に対する治療(対症療法)を行います。
急性腎不全は治療を行うことで回復する可能性がありますが、治療によって命に別状がなかったとしても、慢性腎臓病に移行してしまうことがあります。慢性腎臓病になってしまうと腎機能が回復することはないため、生涯にわたって治療が必要になります。
<慢性腎臓病についてはこちらの記事でも解説しています>
また、人間の場合と同様、透析が有効な治療法として知られています。
透析の方法は血液透析と腹膜透析の2種類に分類されます。
血液透析
血液透析は、腎不全の犬の血液から老廃物や余分な水分をろ過する治療法です。
透析を受けた犬の血液は、老廃物や余分な水分を除去する機械を通して体外に循環され、体に戻されます。
これにより、老廃物と体液のバランスを保ち、健康を維持することを目的としています。
腹膜透析
腹膜透析は、腹膜と呼ばれる腹部の内層を使用して、血液から老廃物や余分な水分をろ過する透析の一種です。
特別な溶液が小さなカテーテルを通して腹部に導入され、一定期間体内に残されます。
溶液は老廃物や体液を吸収し、体から排出された後、新しい溶液に置き換えられます。
このプロセスを1 日に数回繰り返すことで、老廃物と体液のバランスを保ち、健康を維持することを目的としています。
透析ができる病院はまだまだ少ないのが現状ですが、当院では腹膜透析の治療環境が整っております。また、腹膜透析に加え、近年注目されているSUBシステムという器具を用いた手術にも対応しております。
腹膜透析とSUBシステムについて詳しく知りたい方は、当院までお問い合わせください。
飼い主が気を付けるべき点
急性腎不全はあっという間に状態が悪くなり、数日で死に至ることもあります。そのため、一刻も早く症状に気が付き、治療を行うことが大切です。
急性腎不全は特異的な症状がないため、最初は様子を見てしまう飼い主様も少なくありません。そのため、日頃から愛犬の様子をよく観察して、元気や食欲がないなどいつもと何か違うと感じたらすぐにご相談ください。
まとめ
急性腎不全はあっという間に状態が悪くなり、数日で命を落としてしまうこともあります。年齢や犬種に関係なくどんな犬も急性腎不全に陥る可能性があるため、日常的に愛犬の様子をチェックしていち早く異常に気づき、動物病院を受診することが大切です。急性腎不全が疑われる症状がみられた場合は、すぐに当院へご相談ください。
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