2023.05.15フェレットのインスリノーマについて│3歳以降は1年に1度の定期健診をお勧めします
「インスリノーマ」とは、膵臓にある「膵島」という内分泌腺由来の腫瘍です。副腎疾患(腫瘍)・リンパ腫と併せて「三大腫瘍」と呼ばれているほどフェレットに比較的よくみられる腫瘍で、4〜6歳で発症することが多いといわれています。
今回はそんなフェレットのインスリノーマについて、詳しく解説していきます。
原因
インスリノーマは膵島のうち、血糖値を下げる役割を担う「インスリン」を分泌しているβ細胞が腫瘍化することで起こります。
残念ながらまだはっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝や食事が原因なのではないかと考えられています。
症状
インスリノーマは初期の段階では無症状であることも多いのですが、インスリンが過剰に分泌されるようになると低血糖状態に陥り、以下のような症状を引き起こしてしまいます。
・元気がない
・食欲がない
・後ろ足がふらつく
・よだれを垂らす
・意識障害
・痙攣発作
・口をかくしぐさをする
診断方法
フェレットのインスリノーマは年齢や低血糖の症状からある程度診断は可能です。しかし、他の病気を否定するためにも、問診・視診・触診・聴診を行った後、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行って総合的に診断をします。
また、確定診断をするためには手術で腫瘤を摘出して、病理検査を行う必要があります。
治療方法
フェレットのインスリノーマの治療法には、手術で腫瘍を摘出する「外科的治療」と、血糖値を上昇させるためにステロイド剤などを投与する「内科的治療」があります。また、すでに低血糖状態に陥っている場合は、血糖値を上げるためにブドウ糖液を飲ませたり、点滴をしたりすることもあります。
さらに、これらの治療と併せて食事管理も行います。まずは血糖値をコントロールするため、食事は良質な動物性タンパク質と脂質を中心としたものに変更し、小分けにして与えるようにします(3〜4時間おきくらい)。また、血糖値が急上昇するとインスリンが過剰に分泌されてしまうため、炭水化物が多い食餌や糖分を多く含むおやつなどは控えるようにします。
いずれの治療を行っても残念ながら完治は難しいものの、血糖値をうまくコントロールすることができれば寿命を全うすることもできます。
予防方法
フェレットのインスリノーマは原因がまだはっきりとわかっていないため、効果的な予防方法はありません。そのため、特にシニア期(3歳〜)に突入したら1年に1回健康診断を受け、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。
まとめ
インスリノーマはフェレットによくみられる腫瘍の一つですが、明確な予防方法がないため、早期発見・早期治療が重要です。低血糖の症状がみられた場合は、様子を見ずにすぐに当院へご相談ください。
当院ではウサギ、カメ、ハムスター、フェレット、ハリネズミなど、エキゾチックアニマルの診療を行っています(鳥類は診療対象外のため、あらかじめご了承ください)。
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<参考文献>
フェレットのインスリノーマ16症例の回顧的調査
・http://www.hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2015/10/1509-01.pdf