2023.05.15ハリネズミの口腔内腫瘍について│シニア期によく見られる腫瘍
ハリネズミは腫瘍ができやすい動物で、その中でも口腔内腫瘍は腫瘍の中で3番目に多いといわれています。しかし、口の中を覗く機会はほとんどないため、かなり進行してから発見されるケースも少なくありません。そこで今回は、ハリネズミの口腔内腫瘍について解説していきます。
原因
口腔内腫瘍はハリネズミに比較的よく発生する腫瘍で、特に「扁平上皮癌」という悪性腫瘍が多くみられます。
扁平上皮癌をはじめ、ハリネズミの口腔内腫瘍ができる主な原因は遺伝や環境ではないかと考えられていますが、3歳以上のシニア期のハリネズミに多くみられます。
症状
ハリネズミに口腔内腫瘍ができると、以下のような症状がみられるようになります。
・食欲の低下
・よだれを垂らす
・口の中が出血する
・口臭がきつくなる
・顔や顎の変形が見られる
また、悪性腫瘍の場合は進行すると顎の骨が溶けて歯が抜け落ちてしまったり、転移をしたりすることもあります。
診断方法
ハリネズミの口腔内腫瘍を診断するためには、レントゲン検査や細胞診検査(注射器で採取した腫瘤の細胞を顕微鏡で観察して、どんな細胞があるのかを確認する検査)を行います。
ハリネズミは警戒心が強いため、丸まってしまうなどしてうまく検査ができないことがあります。そのため、しっかりと検査をするために、一般的には麻酔をかけた状態で検査をします。
ただし、これらの検査を行うだけでは確定診断を下すことができません。確定診断をするためには手術で腫瘤を摘出し、病理検査を行う必要があります。
治療方法
ハリネズミの口腔内腫瘍には残念ながら確立された治療法はありませんが、一般的には手術で腫瘍を摘出します。
しかし、悪性腫瘍の場合は手術を行っても再発する可能性が高く、手術後も治療や定期的な経過観察が必要になります。
また、年齢が高かったり病気がかなり進行していたりする場合には、手術が難しいケースも少なくありません。そのような場合には対症療法として抗生剤や消炎剤などの投与を行ったり、抗がん剤治療を行ったりすることもあります。また、さらに採食が難しい場合には、強制給餌を行うこともあります
予防方法
ハリネズミの口腔内腫瘍は予防が難しいため、早期発見・早期治療することが最も大切です。
日頃からハリネズミの口まわりやごはんの食べ方が普段と異なることはないかなどをしっかり観察して、口腔内腫瘍が疑われる症状がみられる場合は、様子を見ずにすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
口腔内腫瘍はシニア期のハリネズミによくみられる腫瘍ですが、予防が難しく運良く手術ができても再発しやすい厄介な病気です。
ハリネズミの口腔内腫瘍は早期発見・早期治療が何よりも大切なので、日頃からハリネズミの様子をよく観察して、いつもと違う様子がみられた場合は様子を見ずにすぐに当院へご相談ください。
当院ではウサギ、カメ、ハムスター、フェレット、ハリネズミなど、エキゾチックアニマルの診療を行っています(鳥類は診療対象外のため、あらかじめご了承ください)。
エキゾチックアニマルの診療をご希望の場合は、必ず事前予約のうえお越しいただきますようお願いいたします。
■過去のエキゾチックアニマルの記事は以下をご確認ください
「水分不足と運動不足にはご用心!│ウサギの膀胱炎について」はこちら
「避妊手術で予防できる│ウサギの子宮蓄膿症について」はこちら
症状・検査・健診についてご相談がある場合はこちら
03-6666-6557
来院される場合はこちら(Web予約システム)
東京都江東区木場・豊洲・潮見を中心にかかりつけ医で夜間救急診療ができる病院
江東どうぶつ医療センター