2023.05.31ハムスターの体表腫瘍について│しこりを発見したら様子を見ずにすぐに受診を!
ハムスターは体表腫瘍ができやすい動物として知られています。良性から悪性までさまざまな種類がありますが、あっという間にしこりが大きくなり、体の小ささゆえに衰弱死してしまうこともあります。そこで今回は、ハムスターの体表腫瘍の症状や原因、治療方法などについて詳しく解説していきます。
症状
1〜2歳未満のシニアのハムスターに発生しやすく、お腹や胸、首、耳介、脇の下、四肢などにしこりがみられます。
また、しこりが大きくなると自壊したり気にして自分でかじってしまったりして、出血することがあります。
さらに、大きくなった腫瘍に栄養を取られたり痛みから食事がとれなくなってしまったりすると、衰弱死してしまうこともあります。
原因
ハムスターに体表腫瘍ができやすい原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝や食事、環境、ホルモンなどが関係している可能性が示唆されています。
また、ハムスターにみられる体表腫瘍は、皮脂腺腫やアポクリン腺腫といった良性腫瘍から、扁平上皮癌やリンパ肉腫といった悪性腫瘍までさまざまな種類があり、性別によってできやすい腫瘍の種類が異なります。
<雄>
雄の体表腫瘍の約7割は良性腫瘍です。お腹に発生しやすい「増殖性筋膜炎」や耳介に発生しやすい「乳頭腫」「扁平上皮癌」が多くみられます。
<雌>
雌の場合は良性腫瘍と悪性腫瘍の発生率は五分五分で、「アポクリン腺腫」や「アポクリン腺癌」が多くみられます。
診断方法
視診や触診などで体表にできた「しこり」の存在を確認することはできますが、腫瘍の種類など、詳細な部分まではわかりません。
そのため、注射器を使ってしこりの内容物を吸引し、顕微鏡で観察します。
しかし、この時点でも確定診断までは至らず、手術で摘出したしこりを病理検査に出すことで初めて確定診断をすることができます。
治療方法
一般的には全身麻酔をかけ、手術によって腫瘍を摘出します。
ただし、腫瘍の種類や麻酔のリスクなどによって腫瘍の摘出が難しい場合には、薬を使った緩和治療を行います。
予防方法
ハムスターの体表腫瘍は予防が難しい病気です。また、しこりに気づいたとしてもちょっと様子をみている間に腫瘍が大きくなってしまい、あっという間に命を落としてしまうこともあります。
ハムスターの腫瘍はお腹側にできることが多いため、特に1歳を過ぎたら体表にしこりがないかどうかをよく観察し、万が一しこりがあった場合は様子を見ずにすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
ハムスターは1歳を過ぎると体表腫瘍の発生率が高くなるため、日頃から体にしこりができていないかどうかをしっかり観察することが大切です。発見が遅れれば衰弱してしまい手術を行うことも難しくなるため、しこりを発見したら様子を見ずにすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
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<参考文献>
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/56/6/56_6_387/_pdf/-char/ja