2023.06.30ウサギの皮膚炎について│飼育環境や飼い方を工夫することが大切
ウサギの皮膚はとてもデリケートで、よく皮膚炎を引き起こします。原因は細菌や真菌、ダニなどの感染をはじめ、ストレスや物理的な刺激によるものなど多岐にわたりますが、悪化を防ぐためには早期発見が重要になります。そこで今回は、ウサギの皮膚炎について解説していきます。
■目次
1.症状
2.原因
3.診断方法
4.治療方法
5.予防方法
6.まとめ
症状
ウサギが皮膚炎を起こすと、一般的には脱毛や痒み、皮膚の赤み、フケ、かさぶたなどがみられます。また、重度の場合は出血をしたり、じゅくじゅくしてただれたりしてしまうこともあります。
原因
ウサギの皮膚炎の原因はさまざまで、原因によって病名が異なります。
・細菌性皮膚炎:細菌感染
・皮膚糸状菌症:真菌(カビの仲間)の感染
・ツメダニ症:ダニの寄生
・心因性脱毛症:ストレス
・ソアホック(潰瘍性足底皮膚炎):硬い床材や肥満などによる足裏への負荷
診断方法
原因を特定したり二次感染の有無を確認したりするために、以下のような皮膚検査を行います。
スタンプ検査
スライドガラスやテープを病変部に押し当てたものを染色し、細菌やツメダニ、炎症細胞の有無などを顕微鏡で観察する
顕微鏡検査
落屑(フケ)や被毛をテープで採取し、ツメダニの成虫や卵の有無を顕微鏡で観察する
被毛検査
被毛を抜いて顕微鏡で観察し、真菌の有無や被毛の異常がないかなどを調べる
これらの検査結果や症状などから、総合的に診断を行います。
治療方法
治療方法は皮膚炎を引き起こしている原因によって異なります。細菌性皮膚炎であれば抗生物質の投与や消毒薬による治療を、皮膚糸状菌症であれば抗真菌薬の投与を、ツメダニ症であれば殺ダニ剤による治療を行います。
心因性脱毛症の場合はストレスの元を取り除く必要がありますが、特定が難しい場合などはエリザベスカラーを装着して、物理的に自咬できないようにします。
ソアホックの場合は抗生物質や消毒薬による治療を行いつつ、床材を変更したりダイエットをしたりして、足裏への負担をなるべく減らしてあげましょう。
予防方法
ウサギの皮膚炎の多くは飼育環境や飼い方が関係しているため、これらを見直すことが予防につながります。
まず、床材は柔らかいものを用意し、うさんぽする場所はカーペットなどを敷くようにしましょう。
また、ケージ内は水やおしっこなどで不衛生になりがちです。不衛生な環境は感染症やストレスの原因になるため、こまめに掃除することが大切です。
そして体重管理も皮膚炎予防には欠かせません。食事は牧草をメインにし、おやつは極力控えるようにしましょう。
まとめ
ウサギの皮膚炎は、飼育環境や飼い方を工夫することである程度予防することが可能です。床材や衛生面には細心の注意を払い肥満にならないよう、しっかりと食事管理を行うようにしましょう。また、発見が遅れると治療が長引いてしまうため、日頃から皮膚の状態をよく観察し、異常に気がついた場合はすぐに検査を受けるようにしましょう。
当院ではウサギ、カメ、ハムスター、フェレット、ハリネズミなど、エキゾチックアニマルの診療を行っています(鳥類は診療対象外のため、あらかじめご了承ください)。
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